もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「鈴はある日突然、身の回りのものもすべて置いたまま、鈴のお母さんとふたり姿を消したんです。」
いいにくそうに嶺が言う。

「私のお母さんも・・・見つからないまま・・・?」
「・・・見つかりました。」
私は何となくその言葉の続きが分かるような気がした。

「病院に通っていたから、鈴のお母さんは半年後には見つかったんです。」
「今どこに?」
「・・・亡くなった状態で見つかりました・・・・。」
その言葉に恭が黙ったまま私の肩をさする。

「・・・どこで・・・?」
「ここからも、俺たちが暮らしていた場所からもかなり遠い町で、ひとり・・マンスリーマンションで亡くなってたんだ。隣人からはそこに鈴らしき人も一緒に暮らしていたって聞いたんだ。でも、知らせを受けて駆け付けた時に鈴はいなかった。」

・・・急に体が震えだす。
「お母さんは再会した時もひどい糖尿病で、それでもあまり自制した生活は送っていなかった。死因も糖尿病が原因だったんだ。」
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