もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「2年前に・・・私が身に着けていたんです・・・。」
「・・・そっか・・・その指輪・・・・してくれてたんだ・・・そっか・・・」
嶺の瞳が少し潤むのを見て、私はさらに罪悪感に襲われた。


婚約までしていた私たち。
嶺は私の生い立ちを知ったうえで私を想ってくれていた。

私を守るために、一緒に暮らしてくれて、私に幸せをたくさんくれていたのだろうと、あくまで前日の話を聞いての想像でしかなかった。
でも、今思えば、再会した時の涙とあたたかい、熱いくらいの抱きしめられたときの体温が彼が私をどれだけ想い探してくれていたか・・・気持ちが伝わる状況だったと思う・・・。

今、彼の瞳が揺れていることも・・・。

なのに私は何も思いだせないなんて。

しかも、別の男の人と暮らしていて、その人にすがっている姿を見てどれだけつらい想いをさせてしまっているのだろう・・・。
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