もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「ごめんなさい・・・」
不意に口から出た私の言葉に嶺は私の方へ視線を移した。

「ん?何が?」
その瞳は優しい。

「私・・・ごめんなさい・・・」
謝る要素が多すぎて言葉にしてまとめることができない私に微笑む嶺。

そしてゆっくりと首を横に振る。

「生きてくれていてよかった。それに・・・」
「それに・・?」
「その指輪を身に着けてくれていたってことは、俺嫌われたわけじゃなかったってことかなって思って、正直泣きそうなくらいうれしかったんだ。今。ありがとう。」

どれだけ私はこの人につらい想いをさせてしまったんだろう・・・。

自分の体が自分の物じゃないように勝手に動きだす。
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