月刊ヤングMAGAZIN

なんだろ…椛



バレンタインに関係あるんだろうけど

別にこんな所に呼び出さなくてもいいのに




まだかな…

寒…




椛は毎年

オレにクッキーを焼いてくれた



甘くないクッキー





小さい時

椛から初めて手作りチョコをもらった
バレンタイン



ハート型に固められたチョコに

キラキラした粒がいっぱいのってた




キレイだったけど


「おれ、チョコたべれない…」


椛に言った




椛は泣いた




「おんなのこが、おとこのこに、
チョコわたすひなのにー…

なぎ、たけるにつくったのにー…」



「嵩琉くんがチョコ嫌いなの知ってたけど
椛、作りたかったんだって…
キレイなの、嵩琉くんに
渡したかったんだって…」


椛のママが椛をなだめながら
オレに言った




「じゃあ、おれ、たべる…」



オレがチョコを口に入れた時


椛は
本当に嬉しそうな顔をした




その時は

オレが椛の王子様になった気分で

馬に乗った←妄想





なのに次の年のバレンタイン


「たける、あまいのダメだから
クッキーにしたよ!」


椛はハート型のクッキーを焼いてくれた



「なにこれ?こげてる!」


椛は泣いた



「嵩琉!
椛ちゃんにあやまりなさい!」



黒かったクッキーは
ココアのクッキーだったんだって


甘いのが苦手なオレに
甘くないココアクッキーを作ってくれたって
あとから知った




「なぎ、ごめん…」



王子は
馬から落ちた




パリ…半分にした

「なぎ、いっしょにたべよ!」


椛はオレの手から
大きい方を取って食べた




今も変わらない





それから椛は毎年

ハート型のバタークッキーを作ってくれた



椛しか知らない

オレの好みの味




レシピ非公開←じつはテキトー





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