月刊ヤングMAGAZIN

中にあるベンチみたいなのに

ふたりで座った




「まだ、温かい…
さっき焼いてきたの?」


紙袋を触ったら、まだ温かかった


バターのいい匂いがした



「うん…帰って急いで焼いたの」


それで遅かったんだ





「嵩琉、学校で何個もらった?」


毎年聞かれる



「1.2…3‥4…
…4個!」




「本命…あった?」



それも毎年聞かれる


なんで、今年に限って…




「…あった…」



椛が残念そうな顔をした



「…怒った?」



「別に…」



拗ねてる、椛



「椛、嘘ついてただろ、オレに」



「え…なに?」




「前に
幼稚園の時から
嵩琉のことかっこいいとか好きとか言う子に
嵩琉って女の子に興味ないんだよって
私が言ってたの ※クリスマスの誓い参照
って、言ってただろ…

だから、オレが女子にモテないって
アレ、嘘でしょ

ホントはオレが椛のこと好きだって
みんなウワサしてて
オレに告白できなかったって
今日、聞いたよ」




「うん…
みんなが
嵩琉、椛ちゃんのこと絶対好きだよ!
って言ってて

ホントは違うのに
違うよってみんなに言えなかった

ホントだったらいいな…って

ごめんね」




謝るとこそこじゃないし



しかも
違うわけでもなかったけど






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