月刊ヤングMAGAZIN

冷房の効いた部屋

椛の身体だけが熱くて



ーーー

ーーーーー



「ん…」


「椛…」



ーーーーー



「嵩琉…」



ーーー



「椛…聞こえる?」



「うん…聞こえる」



ーーー



「だよね…
オレも、聞こえる…花火の音」



ーーーーー



「この音…
今年は、嵩琉と聞けたから嬉しい」



ーーー

ーーーーー



「うん」



ーーー

ーーー



「ん…」



花火の音の耳鳴りと

椛のかわいい声が

オレの耳に響く



ーーーーー

ーーー

ーーー



「椛…
椛の声、かわいい
もっと聞かせて…」



「…ヤダ…
…恥ずかしいもん…」



「いーじゃん…聞かせて…」



ーーー

ーーー

ーーー



「嵩琉…好きだよ…」




誰にも聞かせたくない椛の声




ふたりにしか聞こえない花火の余韻



ドーン…ドーン…ドーン…




ふたりにしか聞こえない

オレたちの鼓動が部屋の中に響いた



ドクン…ドクン…ドクン…





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