これを恋だと認めたら、
「真澄くんおはよう!」


隣の席に勢いよく声をかけるも、無視。


周りからはクスクスという笑い声。


これは私がバカにされているのが半分、呆れられているのが半分だ。


「おはよー、紫苑。そして今日もよくやるね」


こちらは後ろの席の細川りお。私の友であり、二年生でありながらバレー部の副キャプテンだ。



「まあね、私の持ち味はめげないことだから!」



そう言いながらチラリと真澄くんを見るも、耳にイヤホンを突っ込んで机に突っ伏しているのだった。


彼が転校してきたのは二週間ほど前、夏休み明けの二学期からだった。


噂というのは早いもので、高校で転校生なんて珍しいねとクラス中その話題で持ち切りだ。


「男の子なんだよね?イケメンかな?」


勿論私もまだ見ぬ転校生へ興味津々だ。
斜め後ろのりおに喋りかけに行くとそんな意見はピシャリと弾き飛ばされる。


「転校生がイケメンとか少女漫画の読みすぎ。絶対有り得ないから。」


まあそうだよねえそんな上手いこといかないよね。そう落ち込んだのもつかの間、


「まあでもどんな子でも友達になれたらいいな!ほんっと楽しみ」


そうしてクラスの期待を一心に背負い、やって来たのが真澄くんだった。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop