死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「爽月さん、ありがとうございます。ここで大丈夫です」
車で十五分くらいで、コンビニのそばについた。
「おー。奈々絵、無理はすんなよー」
「できるだけそうします」
「よろしい。そんじゃ、またなー」
俺は爽月さんに礼をいって車から降りると、すぐにコンビニにいった。
「奈々!」
コンビニの駐車場を入ってすぐのとこにいた恵美が声をかけてくる。
「早いな、恵美」
「さっきまで友達とすぐ近くで遊んでたの!
奈々は? 電車で来たの?」
「ああ、そう」
爽月さんのことは言えなかったので、俺はとりあえず嘘をつくことにした。
「そうなんだ。酔わなかった?」
「ああ、大丈夫」
「へー。今日は本当に調子いいんだね」
「奈々、恵美!」
潤が走って俺達のとこにくる。
「もう! 潤遅い!」
恵美がぷーっと頬をふくらませた。
「言うてそんなだろ。それより、あづは?」
ああ、良かった。話が本題に切り替わった。このままだとボロが出そうだったから、話が本題に切り替わって本当に安心した。
「あそこ!」
恵美がコンビニの裏手の壁を指さす。
そこには確かに、横並びで座り込んで、酒を飲んだり煙草を吸ったりしている見るからに不良そうな奴がいた。人数は四人。多分歳は俺達と同じくらいだ。
全員がヤンキー座りかあぐらをかいていて、四人がいるところのすぐそばに空になった酎ハイやビールの缶が何十個も置かれていた。
他にも飲み途中で飽きたのか、中身が半分以上残っているのに道路に投げ出されていて液体があふれているビールや、一口も飲まずに捨てた酎ハイなんかもあって、その光景は見るからに異様だった。
「うわっ」
俺たちのそばを歩いていたサラリーマンは彼らを見て嫌そうに声を上げると、そそくさと去っていった。どうやら注意をするほどの度胸はないらしい。
「……あれか」
俺は小さな声でいった。
四人の男たちの中に一人だけ、黒いパーカーを着ていて、かぶっているフードの奥に見える髪が青い奴がいた。
――あづだ。
あづは、右隣にいる金髪の奴と話をしながら缶酎ハイを飲んでいた。
多分潤がいってた怜央って奴だ。
――ん?
缶酎ハイを持ってない方のあづの腕に、白い包帯のようなものが巻かれているように見えた。パーカーのポケットに入ってるから手首しか見えないし、確かじゃないけど。