死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「……は? なんだこれ。お前らがやったのか?」
「ああ。奈々絵が中学の時にな」
次の瞬間、あづが草加の腹を拳で殴った。
「喧嘩よ! 誰か警察呼んで!」
コンビニのそばにいた女が大声で叫ぶ。
喧嘩を写真に撮ったりしてケラケラ笑う野次馬を見てると、性懲りも無く腹が立った。
野次馬はざっと十人くらいいた。
あづが草加の足に蹴りを入れようとする。
「ダメっ!」
恵美が背後からあづの服の裾を掴んで、必死で止める。
「なんでだよ! 恵美は怒ってねえのかよ!」
「あたしだって怒ってる!! でも、暴力じゃ何も解決しないの! そんなの、あづが一番よく知ってるでしょ!」
しまった、と恵美は慌てて口を抑える。
母親のことを思い出したのか、急にあづが大人しくなる。
恵美は俺や潤から虐待のことを聞いてるから咄嗟に口に出してしまっただけだと思うけど、今の発言はちょっとよくなかったな。
次の瞬間、草加があづの頬を殴った。
あづの服の裾を片手で掴んでいた恵美は、思わず手を離した。
「いった」
唇が切れていたせいで、あづの頬から勢いよく血が流れる。
「あづ!!」
「えっ!」
俺の声に続いて、恵美が戸惑いの声を漏らす。
恵美は急いで、ハンカチであづの血を拭った。
「あづ!! 草加てめえ!!」
潤が怒ってそばにいた蘭を押しのけて草加に掴みかかる。
あづは頬が真っ赤に腫れていて、見るからに痛そうだ。
「ごほっ」
あづが血を吐いた。
「え」
まさか血を吐くと思ってなかったのか、草加の顔がサーっと青ざめる。
「あづ、大丈夫か」
喧嘩を傍観してた怜央が、あづに近づいて、心配そうに顔を覗き込む。
「うん、平気。ちょっときついけど」
血を吐いてるんだから、絶対ちょっとじゃないだろ。
「は? おい怜央、お前はどっちの味方なんだよ」
蘭が怜央の胸ぐらを掴む。
「え、あづ?」
怜央がどう答えるべきか迷っていたら、あづがふらついて、倒れそうになった。慌てて怜央が肩を抱えて、倒れるのを阻止する。
マズい。
朝から虐待を受けた上に、草加達と喧嘩までしたから、疲れてしまったのかもしれない。
「悪い」
怜央に向かって力なくあづはいう。
「あづ! 恵美、救急車!」
潤が草加に掴みかかるのをやめて、慌ててあづのそばに行き、恵美にそう指示をする。
ハンカチをしまうと、恵美はポケットからスマフォを取り出して、急いで救急車を呼んだ。
マズい。
コンビニにパトカーが来た。パトカーのドアが開いたと思ったら、中から男女の警察が出てきた。
「君達、ちょっと一緒に来て貰えるかな」
警察があづと草加に声をかけた。
「……あの、もうすぐここに救急車が来るんです。だから、話をするなら、警察署じゃなくて、そこでお願いできませんか」
慌てて警察に声をかける。
「君、びしょ濡れじゃないか! ……わかった。 話は病院で聞く」
警察の男は俺を見て血相を変えた。
「あたしも行くよ、奈々」
恵美が寒さで震えている俺の腕を握って言う。
「恵美……ごめん、ありがとう」
俺達はその後救急車とパトカーに乗って、みんなで病院に行った。
潤と蘭と怜央は怪我をしてないし、誰かに暴力も振るってないから、病院にいく意味はなかったのだけれど、それでも帰る気にはならなかったみたいだ。
「ああ。奈々絵が中学の時にな」
次の瞬間、あづが草加の腹を拳で殴った。
「喧嘩よ! 誰か警察呼んで!」
コンビニのそばにいた女が大声で叫ぶ。
喧嘩を写真に撮ったりしてケラケラ笑う野次馬を見てると、性懲りも無く腹が立った。
野次馬はざっと十人くらいいた。
あづが草加の足に蹴りを入れようとする。
「ダメっ!」
恵美が背後からあづの服の裾を掴んで、必死で止める。
「なんでだよ! 恵美は怒ってねえのかよ!」
「あたしだって怒ってる!! でも、暴力じゃ何も解決しないの! そんなの、あづが一番よく知ってるでしょ!」
しまった、と恵美は慌てて口を抑える。
母親のことを思い出したのか、急にあづが大人しくなる。
恵美は俺や潤から虐待のことを聞いてるから咄嗟に口に出してしまっただけだと思うけど、今の発言はちょっとよくなかったな。
次の瞬間、草加があづの頬を殴った。
あづの服の裾を片手で掴んでいた恵美は、思わず手を離した。
「いった」
唇が切れていたせいで、あづの頬から勢いよく血が流れる。
「あづ!!」
「えっ!」
俺の声に続いて、恵美が戸惑いの声を漏らす。
恵美は急いで、ハンカチであづの血を拭った。
「あづ!! 草加てめえ!!」
潤が怒ってそばにいた蘭を押しのけて草加に掴みかかる。
あづは頬が真っ赤に腫れていて、見るからに痛そうだ。
「ごほっ」
あづが血を吐いた。
「え」
まさか血を吐くと思ってなかったのか、草加の顔がサーっと青ざめる。
「あづ、大丈夫か」
喧嘩を傍観してた怜央が、あづに近づいて、心配そうに顔を覗き込む。
「うん、平気。ちょっときついけど」
血を吐いてるんだから、絶対ちょっとじゃないだろ。
「は? おい怜央、お前はどっちの味方なんだよ」
蘭が怜央の胸ぐらを掴む。
「え、あづ?」
怜央がどう答えるべきか迷っていたら、あづがふらついて、倒れそうになった。慌てて怜央が肩を抱えて、倒れるのを阻止する。
マズい。
朝から虐待を受けた上に、草加達と喧嘩までしたから、疲れてしまったのかもしれない。
「悪い」
怜央に向かって力なくあづはいう。
「あづ! 恵美、救急車!」
潤が草加に掴みかかるのをやめて、慌ててあづのそばに行き、恵美にそう指示をする。
ハンカチをしまうと、恵美はポケットからスマフォを取り出して、急いで救急車を呼んだ。
マズい。
コンビニにパトカーが来た。パトカーのドアが開いたと思ったら、中から男女の警察が出てきた。
「君達、ちょっと一緒に来て貰えるかな」
警察があづと草加に声をかけた。
「……あの、もうすぐここに救急車が来るんです。だから、話をするなら、警察署じゃなくて、そこでお願いできませんか」
慌てて警察に声をかける。
「君、びしょ濡れじゃないか! ……わかった。 話は病院で聞く」
警察の男は俺を見て血相を変えた。
「あたしも行くよ、奈々」
恵美が寒さで震えている俺の腕を握って言う。
「恵美……ごめん、ありがとう」
俺達はその後救急車とパトカーに乗って、みんなで病院に行った。
潤と蘭と怜央は怪我をしてないし、誰かに暴力も振るってないから、病院にいく意味はなかったのだけれど、それでも帰る気にはならなかったみたいだ。