死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「空我!全くもう! あんな騒いで、心配したんだからね? 警察の人達に、迷惑かけなかったでしょうね!」
「……ごめんなさい」
穂稀先生に叱られたあづがいう。
「はぁ。まぁいいわ」
その後、警察が穂稀先生と、草加の母親に声をかけて、処分の話を始めた。
内容が気になったが、俺とあづは帰るように言われたので、渋々二人で部屋を出た。
草加は帰りたそうにしていたが、あんなことがあったあとでは帰れるはずもないので、穂稀先生達と一緒に、警察の話を聞くこととなった。
その後すぐに看護師に声をかけられ、俺は検査を受けることとなった。結果は異常なし。会計をしたらもう帰っていいと言われた。
することもないので、あづと一緒に、会議室の隣の部屋で話をしている恵美達を待っていたら、看護師に声をかけられた。
「赤羽くん、これ」
看護師が持っていた紙袋を、俺に差し出す。
「なんですか?、これ」
「黒髪の男の子が赤羽くんに渡してって。確か赤羽くんの同居人とか言ってたわ」
爽月さんか?
紙袋を受け取って開けてみると、そこにはシャツとズボンとインナーと下穿と靴下とビニール袋が入っていた。ビニール袋を開けてみると、中には靴があった。NIKEの青いラインが二本入った白の靴だ。……かっこいい。もしかして、買ってくれたのか?
「奈々、一緒に住んでる人いんの?」
「いや、俺は一人暮らしだよ。でも時々、様子見に来てくれる人がいんだ」
「ふーん。靴までくれるなんて親切だな」
「ああ。しかもこれ、新品だ」
なんでわざわざ買ってきてくれたんだろう。靴なら家に何足かあった気がするけど。
「え、あ、ホントだ!タグついてんじゃん!お礼の連絡しろよ!」
上機嫌であづはいう。
「ああ、そうする」
「それじゃ、私は失礼するわね。赤羽くん、くれぐれも安静に!」
「はい、すみません」
俺は肩を落として軽く頭を下げた。
看護師はそんな俺を見てクスッと笑ってから、俺から離れていった。
俺は一度病院の外に行き、爽月さんに電話をかけた。
《奈々絵、お前大丈夫か?》
「はい、もう大丈夫です。心配かけてすみません、紙袋受け取りました。靴までありがとうございます」
《ああ。これで少しは元気になったか?》
「はい。でもなんで靴まで買ってきてくれたんですか?」
《それは……》
爽月さんは口をつぐんだ。
「爽月さん?」
《たっ、退院祝いだよ! お前の!まだ何もしてなかっただろ!》
「え、いいんですか」
《ああ。本当はもっとちゃんとしたのやるつもりだったんだけど、何あげたら喜ぶのか分かんなくて、在り来りなもんにしちまった》
「そんな。親戚の人からプレゼントなんて貰ったことないので嬉しいです、ありがとうございます」
《……ちょっと両親絞めてくる》
「絞めないでください、また爽月さんが暴力受けたらどうするんですか!」
俺は慌てて爽月さんを止めた。
しまった。
爽月さん、ただでさえご両親と不仲になってるのに、余計悪化させるようなことをいってしまった。
《うっ。それはそうだな。……悪い、頭に血が上って。冷静じゃなかった》
「俺も冷静じゃなかったです。すみません、爽月さんがそういうのも無理ないですよね」
爽月さんはきっと、俺の誕生日とか小学校の入学式とかを自分から祝福しなかったわけじゃない。両親に『出来損ないの弟とは付き合うな』って言われてたから、誕生日のことも入学式のことも知らなかったんだろう。そんな仕打ちを受けるくらい俺は親戚に嫌われている。
「……ごめんなさい」
穂稀先生に叱られたあづがいう。
「はぁ。まぁいいわ」
その後、警察が穂稀先生と、草加の母親に声をかけて、処分の話を始めた。
内容が気になったが、俺とあづは帰るように言われたので、渋々二人で部屋を出た。
草加は帰りたそうにしていたが、あんなことがあったあとでは帰れるはずもないので、穂稀先生達と一緒に、警察の話を聞くこととなった。
その後すぐに看護師に声をかけられ、俺は検査を受けることとなった。結果は異常なし。会計をしたらもう帰っていいと言われた。
することもないので、あづと一緒に、会議室の隣の部屋で話をしている恵美達を待っていたら、看護師に声をかけられた。
「赤羽くん、これ」
看護師が持っていた紙袋を、俺に差し出す。
「なんですか?、これ」
「黒髪の男の子が赤羽くんに渡してって。確か赤羽くんの同居人とか言ってたわ」
爽月さんか?
紙袋を受け取って開けてみると、そこにはシャツとズボンとインナーと下穿と靴下とビニール袋が入っていた。ビニール袋を開けてみると、中には靴があった。NIKEの青いラインが二本入った白の靴だ。……かっこいい。もしかして、買ってくれたのか?
「奈々、一緒に住んでる人いんの?」
「いや、俺は一人暮らしだよ。でも時々、様子見に来てくれる人がいんだ」
「ふーん。靴までくれるなんて親切だな」
「ああ。しかもこれ、新品だ」
なんでわざわざ買ってきてくれたんだろう。靴なら家に何足かあった気がするけど。
「え、あ、ホントだ!タグついてんじゃん!お礼の連絡しろよ!」
上機嫌であづはいう。
「ああ、そうする」
「それじゃ、私は失礼するわね。赤羽くん、くれぐれも安静に!」
「はい、すみません」
俺は肩を落として軽く頭を下げた。
看護師はそんな俺を見てクスッと笑ってから、俺から離れていった。
俺は一度病院の外に行き、爽月さんに電話をかけた。
《奈々絵、お前大丈夫か?》
「はい、もう大丈夫です。心配かけてすみません、紙袋受け取りました。靴までありがとうございます」
《ああ。これで少しは元気になったか?》
「はい。でもなんで靴まで買ってきてくれたんですか?」
《それは……》
爽月さんは口をつぐんだ。
「爽月さん?」
《たっ、退院祝いだよ! お前の!まだ何もしてなかっただろ!》
「え、いいんですか」
《ああ。本当はもっとちゃんとしたのやるつもりだったんだけど、何あげたら喜ぶのか分かんなくて、在り来りなもんにしちまった》
「そんな。親戚の人からプレゼントなんて貰ったことないので嬉しいです、ありがとうございます」
《……ちょっと両親絞めてくる》
「絞めないでください、また爽月さんが暴力受けたらどうするんですか!」
俺は慌てて爽月さんを止めた。
しまった。
爽月さん、ただでさえご両親と不仲になってるのに、余計悪化させるようなことをいってしまった。
《うっ。それはそうだな。……悪い、頭に血が上って。冷静じゃなかった》
「俺も冷静じゃなかったです。すみません、爽月さんがそういうのも無理ないですよね」
爽月さんはきっと、俺の誕生日とか小学校の入学式とかを自分から祝福しなかったわけじゃない。両親に『出来損ないの弟とは付き合うな』って言われてたから、誕生日のことも入学式のことも知らなかったんだろう。そんな仕打ちを受けるくらい俺は親戚に嫌われている。