死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。

「なえ? 何ぼーっとしてんだよ。あ、もしかしてまた頭痛いのか? だから喋ってなかったのか? 先生呼ぶか?」
 突然、あづが心配そうな顔をして言ってくる。
「アホか。平気だよ」
 あづの頭を叩いて、呆れたように言う。
「あ、お前今笑っただろ⁉」
「笑ってねぇ」
「いや絶対笑った。口角上がってたってマジで。写メ撮っとけばよかったー。なえが笑うの超貴重なのに」
「撮らなくていいわ。この馬鹿が」
 あづの頭を叩く。
「いーじゃん。照れてんの?」
「フッ。あづなえ大好きかよ」
 潤は鼻で笑って、呆れたように言う。
「好きに決まってんじゃん? 友達なんだし」
「誰が友達だ誰が」
「友達だろ毎日会ってんだから。な? 潤」
「……まぁ、そうだな」
「それ見ろ! 二対一だからもう友達だ! これ決定!」
「多数決で友達かどうか決まるわけねぇだろ」
「なんだよノリわりぃな! こういう時は友達だっていえばいいんだよ!」
「言わねぇ」
 友達だと思ってても、それを認めちゃダメだ。
 ちゃんと取り繕わないとダメだ。だって繕わないと、何もかも話したくなってしまう。いじめのことも姉のことも。そんなのダメだ。そんなことしたら捨てられてしまう。
 先生には最悪繕ってるのがバレてもいいけど、こいつらにまでバレたらダメだ。絶対ダメだ。そう思っていても、日に日に俺の化けの皮は剝がれていった。
 そして、ある出来事が完全に俺の化けの皮を剥がした。
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