死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
七月中旬。足の骨折が治った俺は、午後からリハビリをしていた。
「なえー!」
リハビリ室の入り口に空我と潤と、見知らぬ子が来た。
同年代くらいの女だ。茶色い髪をしていて、まつげが長い。姉を思い出して、思わず目を背けた。
「赤羽くん、どうかしました? 会わなくていいんですか?」
看護師が小声で言う。
「……あいつら帰らせてもらえますか」
看護師に小声で言う。――看護師はまだしも、同年代の女に会うのは無理だ。姉を思い出して、自己嫌悪に襲われるから。
「……わかりました」
「すみません」
翌日、三人は朝から来た。土曜日だったから三人とも一緒に来れたようだ。
「なえ、昨日はよくも追い返してくれたな?」
俺を睨みつけてあづは言う。
「出てけ。……最初からこうすればよかった。そう思ったから追い出したんだよ」
「は? なんだそれ。俺達は友達じゃねえのかよ」
力のない声であづは呟く。
「だから、俺がいつそれを認めたんだよ」
同年代の女と同じ空気を吸うのが無理だった。仲良くなれば確実に姉のことを話してしまう気がしたから。
「なえ、もしかしてお前、女嫌いなのか?」
怪訝そうな目をして潤は言う。
「あ、それで出てけの一点張りなのか!」
「ちげぇ。俺はその女だけじゃなくて、お前ら三人に出てって欲しいんだよ」
「なんでだよ。理由教えてくれなきゃ、出ていかねぇ」
子供みたいに空我は拗ねる。
「ハッ、だだっこだな」
馬鹿にするように言う。
「ちょっと! あづはあんたを心配して言ってんだよっ⁉」
俺の肩に手を置いて、女は叫ぶ。
〝奈々絵〟
姉に世話を焼かせた時のことを思い出して、涙腺がゆるみそうになる。思わず手を思いっきり振りほどいて叫ぶ。
「触んなっ!」
「恵美、大丈夫か?」
潤は首を傾げ、女の手を触った。
「うん、平気」
恵美と呼ばれた女が頷く。
「あづ、もう帰ろう」
あづの肩を叩いて潤は言う。
「なえー!」
リハビリ室の入り口に空我と潤と、見知らぬ子が来た。
同年代くらいの女だ。茶色い髪をしていて、まつげが長い。姉を思い出して、思わず目を背けた。
「赤羽くん、どうかしました? 会わなくていいんですか?」
看護師が小声で言う。
「……あいつら帰らせてもらえますか」
看護師に小声で言う。――看護師はまだしも、同年代の女に会うのは無理だ。姉を思い出して、自己嫌悪に襲われるから。
「……わかりました」
「すみません」
翌日、三人は朝から来た。土曜日だったから三人とも一緒に来れたようだ。
「なえ、昨日はよくも追い返してくれたな?」
俺を睨みつけてあづは言う。
「出てけ。……最初からこうすればよかった。そう思ったから追い出したんだよ」
「は? なんだそれ。俺達は友達じゃねえのかよ」
力のない声であづは呟く。
「だから、俺がいつそれを認めたんだよ」
同年代の女と同じ空気を吸うのが無理だった。仲良くなれば確実に姉のことを話してしまう気がしたから。
「なえ、もしかしてお前、女嫌いなのか?」
怪訝そうな目をして潤は言う。
「あ、それで出てけの一点張りなのか!」
「ちげぇ。俺はその女だけじゃなくて、お前ら三人に出てって欲しいんだよ」
「なんでだよ。理由教えてくれなきゃ、出ていかねぇ」
子供みたいに空我は拗ねる。
「ハッ、だだっこだな」
馬鹿にするように言う。
「ちょっと! あづはあんたを心配して言ってんだよっ⁉」
俺の肩に手を置いて、女は叫ぶ。
〝奈々絵〟
姉に世話を焼かせた時のことを思い出して、涙腺がゆるみそうになる。思わず手を思いっきり振りほどいて叫ぶ。
「触んなっ!」
「恵美、大丈夫か?」
潤は首を傾げ、女の手を触った。
「うん、平気」
恵美と呼ばれた女が頷く。
「あづ、もう帰ろう」
あづの肩を叩いて潤は言う。