死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「それに、もし払えなかったらうちらの親にお願いするから! ね、お兄ちゃん?」
「そうだな。俺らの家金持ちだし!」
笑いながら、恵美と潤は言う。
「金持ちって?」
潤の服の裾を引っ張って、あづは不思議そうに言う。
「SUNNYってファッションブランド知らね? 俺らの親そこの社長と会長なんだよ。な?」
「そうそう。だからお金に関しては心配いらない。もう大船に乗った気でいなさい! ね?」
俺の肩を叩いて、恵美は笑う。
SUNNYは女性に人気のあるファッションブランドだ。女性誌とかでよくモデルが着てる。でも、たとえそれが本当だとしても、どうしてそこまでするんだ。
親が金持ちだからなんて、理由にならない。だって、見ず知らずの他人だぞ俺は。たとえ可愛い息子と娘の頼みであったとしても、それは変わらないのに。
それなのに、無理を承知で三人で必死に頭を下げてくれたって言うのか……。
「なんでそこまで」
いくらなんでも行動がぶっ飛んでいる。こいつらの家から病院がかなり遠いからならまだわかる。でも、あづは毎日来てるんだ。決して遠いわけではないだろう。それに、連絡するのにいちいち病院に電話しないといけないといっても、連絡するのなんて、週に数回あるかないかだろ。それなのに、どうしてそこまでするんだ。