死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「おい、潤」
「どうしたあづ?」
「なんだあれ」
廊下の中央辺りを指さしてあづは言う。何かと思ってみると、分厚い大きな紙のようなものにペンギンの親子の絵が印刷されたものが置かれていた。顔のところに丸い穴が開いてる。
「ああ、穴に顔いれて写真撮んだよ。ほら、あんな風に」
ちょうど四人家族が穴に顔を入れ、写真を撮ろうとしていた。それを指さして潤は言う。
「ふーん?」
「あづ見たことないの?」
腑に落ちない顔をするあづを首を傾げながら恵美は見た。
「ああ。俺、水族館来たの初めてだし」
「あんなの遊園地にも動物園にもあると思うけど?」
「……動物園は行ったことないし、遊園地はいったの幼稚園の時だから殆ど覚えてねぇ。だから、俺らも撮ろうぜ」
機嫌よさそうにニカっと笑ってあづは言う。
よく見ると、顔のところに穴があいたペンギンが四羽いた。……絶対俺もやるハメになるだろこれ。気づきたくなかった。
「……お前らで勝手に撮れ」
「きょう、せいだ!」
俺の腕を掴み、楽しそうにあづは笑う。
「はっ⁉ 引っ張んな!」
ペンギンの絵の近くまで無理矢理連れていかれた。恵美は近くにいた人にスマフォを渡し、写真を撮ってもらうようお願いする。こうなってしまってはもう仕方がないので、穴の中に顔を入れて写真を撮る。すごい不服だ。恥ずかしい。
「アハハ! 奈々すっげぇ不機嫌な顔してんじゃん! マジ笑うわ!」
恵美の携帯を覗いて一瞬目を丸くしたかと思うと、あづはすぐに腹を抱えて笑い出した。
「うぜぇ」
恵美の手からスマフォを奪い取り、写真を削除しようとする。だが、突然吐き気が押し寄せてきて、力が抜けた俺はスマフォを落としてしまった。
ガラスカバーが割れる音が響く。あまりにも無慈悲で、残酷に。
「……恵美、ごめん」
早口でそう言い、俺は片手で口をおさえながらトイレまで走った。
「どうしたあづ?」
「なんだあれ」
廊下の中央辺りを指さしてあづは言う。何かと思ってみると、分厚い大きな紙のようなものにペンギンの親子の絵が印刷されたものが置かれていた。顔のところに丸い穴が開いてる。
「ああ、穴に顔いれて写真撮んだよ。ほら、あんな風に」
ちょうど四人家族が穴に顔を入れ、写真を撮ろうとしていた。それを指さして潤は言う。
「ふーん?」
「あづ見たことないの?」
腑に落ちない顔をするあづを首を傾げながら恵美は見た。
「ああ。俺、水族館来たの初めてだし」
「あんなの遊園地にも動物園にもあると思うけど?」
「……動物園は行ったことないし、遊園地はいったの幼稚園の時だから殆ど覚えてねぇ。だから、俺らも撮ろうぜ」
機嫌よさそうにニカっと笑ってあづは言う。
よく見ると、顔のところに穴があいたペンギンが四羽いた。……絶対俺もやるハメになるだろこれ。気づきたくなかった。
「……お前らで勝手に撮れ」
「きょう、せいだ!」
俺の腕を掴み、楽しそうにあづは笑う。
「はっ⁉ 引っ張んな!」
ペンギンの絵の近くまで無理矢理連れていかれた。恵美は近くにいた人にスマフォを渡し、写真を撮ってもらうようお願いする。こうなってしまってはもう仕方がないので、穴の中に顔を入れて写真を撮る。すごい不服だ。恥ずかしい。
「アハハ! 奈々すっげぇ不機嫌な顔してんじゃん! マジ笑うわ!」
恵美の携帯を覗いて一瞬目を丸くしたかと思うと、あづはすぐに腹を抱えて笑い出した。
「うぜぇ」
恵美の手からスマフォを奪い取り、写真を削除しようとする。だが、突然吐き気が押し寄せてきて、力が抜けた俺はスマフォを落としてしまった。
ガラスカバーが割れる音が響く。あまりにも無慈悲で、残酷に。
「……恵美、ごめん」
早口でそう言い、俺は片手で口をおさえながらトイレまで走った。