死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「なーな! 開けろ」
ドアを叩いて、大きめの声であづが言う。俺は慌てて薬とペットボトルをバッグに入れ、トイレの水を流し、ドアを開けた。
「悪い……」
「うわっ、すげぇ汗だな。……やっぱ顔色もあんま良くねぇし、今日はもう帰るか?」
首を傾げ、俺と潤を交互に見ながらあづは言う。
俺は俯いた。まだ回っただけで、イルカショーも見てなければ、四人でお昼も食べてないのに。
「奈々」
あづが俺を呼ぶ。顔をあげると、しゃがみこんでいる俺の目の前に来て、あづは口角を上げて笑った。
「浮かない顔すんなよ。まだ遊びたいなら遊びたいっていえよ」
「なっ! ……遊びたくないわけじゃない」
あづから目を逸らし、小声で言う。
「まっわりくど!」
大声を出して、あづは笑った。
「じゃあお昼食べたら、イルカショーだけでも見に行こう。で、帰りはタクシーにする。それでどうだ?」
「潤ナイス! そうしようぜ、奈々!」
潤の肩を叩いて、嬉しそうにあづは口角を上げて笑う。
「……あぁ」
小声で頷き、俺はそれから、できる限りの範囲で水族館を満喫した。お昼はラーメンとか脂っこいものや消火に悪そうなのは食べないようにして、イルカショーは濡れないよう、真ん中くらいの列から見て。