死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
俺は着替えると、薬を右ポケットに多めに突っ込み、スマフォをもう片方のポケットに入れ、一階まで行った。
水は持ってけない。看護師や医者がないのに気づいたら、逃げたのがバレるだろうから。
服は自殺した時着たのだ。今日水族館行った時も着た。同じ服を一日のうちに二回見るなんて気持ち悪いと思うが、仕方がない。洗って乾燥機で乾かしたから、汚くないし。あづに遊ぼうって言われるまで出かける予定なんて一生ないと思っていたのだから、しょうがない。
「なーな!」
エレベーターを降りて、病院の出入り口の方に身体を向けると、外にいるあづが手を振ってきた。俺は足音を立てないようにして歩き、あづのそばまで行く。
自動ドアのスイッチが入っていなかったから、手で無理矢理ドアを開ける羽目になった。怠い。
俺が開けようとする前に、あづがドアを開けてくれた。気が利く。
「……ありがと」
辛うじて聞こえるくらい小さな声で言った。普通の声で話すと、外にいるのがバレる。
「おっ……」
声をあげて頷こうとしたあづの口を慌てて塞ぐ。
「バカかお前! バレたらマズい」
「あっ、そうだったな。わりぃ。で? どこ行く?」
あづが言った。今度はちゃんと小声で。
「……お前がさっきいったとこ」
「りょーかい!」
連れてこられたのは、紅レンガ倉庫だった。あづがチャリで来てたので、後ろに乗って行った。三十分くらいで着いた。
赤い塗装をされた横長の大きな家のようなものが、オレンジ色に輝いている。さながら夕日のように。いや、夕日よりも綺麗だ。オレンジ色の横長のビルが視界の半分以上を覆っている。端から十歩歩いただけでは、もう片方の端にとてもたどり着けそうにない。見るだけで圧倒される。
水は持ってけない。看護師や医者がないのに気づいたら、逃げたのがバレるだろうから。
服は自殺した時着たのだ。今日水族館行った時も着た。同じ服を一日のうちに二回見るなんて気持ち悪いと思うが、仕方がない。洗って乾燥機で乾かしたから、汚くないし。あづに遊ぼうって言われるまで出かける予定なんて一生ないと思っていたのだから、しょうがない。
「なーな!」
エレベーターを降りて、病院の出入り口の方に身体を向けると、外にいるあづが手を振ってきた。俺は足音を立てないようにして歩き、あづのそばまで行く。
自動ドアのスイッチが入っていなかったから、手で無理矢理ドアを開ける羽目になった。怠い。
俺が開けようとする前に、あづがドアを開けてくれた。気が利く。
「……ありがと」
辛うじて聞こえるくらい小さな声で言った。普通の声で話すと、外にいるのがバレる。
「おっ……」
声をあげて頷こうとしたあづの口を慌てて塞ぐ。
「バカかお前! バレたらマズい」
「あっ、そうだったな。わりぃ。で? どこ行く?」
あづが言った。今度はちゃんと小声で。
「……お前がさっきいったとこ」
「りょーかい!」
連れてこられたのは、紅レンガ倉庫だった。あづがチャリで来てたので、後ろに乗って行った。三十分くらいで着いた。
赤い塗装をされた横長の大きな家のようなものが、オレンジ色に輝いている。さながら夕日のように。いや、夕日よりも綺麗だ。オレンジ色の横長のビルが視界の半分以上を覆っている。端から十歩歩いただけでは、もう片方の端にとてもたどり着けそうにない。見るだけで圧倒される。