死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「じゃあ二人で帰ったら? スクバは今から私が持ってくるから! 佐藤さん席何処? 奈々絵は一列目の一番前だよね?」
俺は頷いた。まだ席は出席番号順なんだ。
「右から二列目の一番後ろです」
「おっけー! すぐに取ってくる! 待ってて!」
姉は急いで俺達の教室に向かった。
それから姉は二分くらいでスクバを持ってきて、直ぐに中等部に戻ってしまった。
保健室で足の応急処置をしてもらってから、俺は佐藤と一緒に帰った。
「……紫苑先輩っていいお姉さんだよね」
「ああ、すげぇいい姉さんだよ」
佐藤の声に俺は笑って頷いた。
姉はいつも俺を助けてくれる。教室に乗り込んできて草加に思いっきり説教をしてくれるし、俺が泣いていたら笑って励ましてくれる俺のヒーロみたいな人なんだ。俺はそんな姉を心の底から大切に想っていて、いつまでも姉と一緒ににいたいと思っていた。
それなのに……。
姉さんは死んだ。
俺が、小学校を卒業した日に。その日、俺は家族とステーキ屋に向かっていた。
要は卒業祝いだ。
いじめがあったから半分以上登校を拒否ってたのに手にした卒業を祝うのはどうなのか。そう思っていたのに、姉の紫苑が上機嫌で祝おうというから、その強引さに推されついのってしまった。
あんなことになるとも知らずに。
結論から言うと、姉は死んだ。いや、姉だけでなく、両親もだ。俺の家族はみんな死んだ。