死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「……偽りの愛か。君が空我に向けているのも、それなんじゃないか」
「俺はッ!」
違うとは、言えなかった。
俺はあいつを騙したことなんて一度もない。でも、旗から見れば、そう見えるのだろうか。仲良くしたくせに、手を離して。そんなの旗から見れば裏切りで、偽りの愛なのか?
そうだとしたら、俺は親戚と同じことをしているのか? 手の平返しのように姉が死んだ途端冷たくされて、死ねって言われて、凄い傷ついた癖に。
酷いことをした自覚はあった。でも、親戚と同じだなんて思いもしなかった。
どうしたらいい。
助けに行けばいいのか。
でも、たかが四か月で、助けられるのか? それに、俺といたら、空我は本当に親戚に殺されるのではないか?
嫌な予感しかしない。やっぱり俺は、あいつと一緒にいない方がいい……。
「僕は患者を助けなければならないという理由がある。でも君が空我を助けに行こうとしないのは、彼と向き合うのが怖いからじゃないか」
胸ぐらから手を離し、顔を伏せる。
「……さい。うるさい! あんたに俺の何が分かる! どうせ身内に死ねって言われたことも、殺されかけたこともないくせに! そんなんだから、簡単にあづを助けられないって言えるんだ!」
思いのまま叫び散らす。本当に、ムカつく。自分も助ける気がないくせに、説教してくるなんて。
「……ああ、そうかもしれないね。でも、そう言われてきた君なら、分かるんじゃないのかい。穂稀に酷い扱いを受けて、君にも傷つけられた空我の気持ちが」
「ああ、わかるよ。嫌になるくらいな! 俺が助けられんなら助けてぇよ! 一生、笑ってあいつと生きていきてぇよ! でも、俺といたら、アイツは絶対もっと不幸になる。最悪、親戚に殺されるかもしれない」
「赤羽くん、一体誰が、彼を殺すって言ったんだい」
「えっ」
「誰も言ってないのだろう。それなら、君の好きにしたらいい。もし本当に親戚が彼を殺しに来たら、君が彼を守ればいい」
「ハッ。……病人に、守れるわけないじゃないですか。腕だって動かないのに」
「じゃあ、このまま死ぬまで空我に会わなくていいと、君はそう本気で胸を張って言えるのか?」
言えるわけがなかった。
そんなことが言えるなら、こんな言い合いになっていない。