死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「……ああ、そうだな。ありがとな」
《えっ。冗談のつもりで言ったんだけど》
「……そうだろうけど、実際三年も待つ奴なんてなかなかいないと思うから。ありがとう」
《やけに素直じゃん? 明日雪でも降んじゃねぇの?》
「アハハ! 降るかもな!」
声をあげて笑う。
嬉しかった。
三年ぶりの会話なのに、前と同じように、何一つ態度を変えず楽しそうに話してくれているのが、どうしようもなく嬉しかった。
あづの暖かさに救われた。心の底からほっとして、胸が熱くなった。
……生まれて初めてできた友達が、こいつでよかったな。今更そんなことを思う。
……頑張ろう。どこまでやれるかわからないけれど。救えないかもしれないけれど、やるだけやってみよう。
……きっとそれが、俺に生きたいって思わせてくれたあづへの恩返しになるから。
《じゃ、奈々、潤達と一緒に病院の前で待ってっから。早く来いよ。来ないと絶交だからな?》
絶交する気なんてどうせ少しもないくせに。そう思いクスッと笑ってから、俺は頷く。
「ああ、行くよ」
《おう! 早く来いよ! じゃあな!》
声を出して頷き、俺は通話を切った。
「うんうん、よくできました」
俺の頭を撫でて、得意げに爽月さんは言う。
「……誰目線ですか。ウザいんですけど」
俺は爽月さんに覚めた目を向ける。
「ひっど! そんなん従兄目線に決まってんじゃん?」
「はぁ……。ありがとうございます」
あきれながら俺は言う。
「素直でよろしい! じゃ、車取りに行くぞ! あづがいるとこまで送ってやるよ」
嬉しそうに笑って、爽月さんはいう。
「はい!」
それから俺たちは爽月さんの友達の家に、二人で車を取りに行った。
爽月さんの友達と五分くらいで分かれ、返してもらった車に二人で乗る。
爽月さんが運転席に座り、俺が助手席に座った。