死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
「……潤はお前の噂を耳にしたのか?」
「そ。潤の学校に噂好きの奴がいて、そいつが潤に『青髪の瞳が吊り上がったガラの悪い中学生とは関わらない方がいい』って話をしたらしい。髪色が派手だからか、俺が主導で悪いことをやってると思われてたんだよ。それで、まぁその噂好きの奴が、俺があづって呼ばれてることも話したらしいんだよ。それで潤は俺だと想ったらしい」
「じゃあ、潤はお前だって証拠もないのに、噂の出所を探したりしたってことか?」
「ああ。何でも、噂好きの奴から話を聞いた時にすごい嫌な予感がして、そうしたらしい。変だよな」
「フッ。そうだな。確かに変だ」
俺は笑いながら、あづの言葉に賛同した。
「だろ?」
俺の笑った顔を見て、あづは楽しそうに口角を上げて笑う。
「ああ。……潤が迎えに来てどうしたんだ? 一緒に帰ったのか?」
「いや、俺は潤に帰れって言ったんだ。正直言うと、小一の時の記憶なんて殆どなかったし、一緒に帰ろうって言われてもって感じだったんだよ。で、潤は俺にそう言われて大人しく帰った。でも、翌日また来たんだよ。そういうのが数か月続いた。潤は会ったらどうせ帰れって言われるってわかってたのに、俺が学校から出てくるのをいつも当たり前のように待ってた」
俺はデジャヴを感じた。
「それはまるで、昔の俺とあづだな」
あづと出会ったばかりの頃は、俺も毎日のように帰れと言っていた。
「ああ。ちょうどあんな感じだったよ。俺が奈々の病室に毎日のようにいってたのは、その時のことがあったからなんだ。俺馬鹿で、頭回んないからさ、潤の真似するくらいしか思いつかなかったんだ」
「……俺はあづのそういう馬鹿さが心底好きだよ」
「ハハッ。ありがとな」
あづが歯を出して、とても嬉しそうに笑った。
……素直だな。
あづが喜んでくれると、俺も嬉しくなる。