恋って西洋風グミの味?
大槻とあたしが話してるのも、教室のみんなは全く興味がないみたい。

これってすごく珍しい光景なんだけどなー。

そもそも大槻が一人じゃないってことがすごく珍しいのに、やっぱりみんな見てもいない。

みんな自分のことに必死なんだなぁ…なんてちょっと感心しちゃってる間にも、大槻が、また読書に戻ろうとしたので必死で止めてみた。
何で止めたのかはわからないけど。

「で、そのパノラマって話はどんな話なの?」

「読めばわかる。」

「あたし文学苦手ー。」

「じゃぁ知らないままで結構。」

その時あたし、ひらめいちゃったんだよね。

この本読めば、不思議ちゃんになれるかも?!って!!!

「大槻!不思議ちゃんになりたいからその本貸して!」

大槻はびっくりしたようなむっとしたような表情でこっちを見た。

「本はそういうためにあるんじゃない。お前さー、不思議ちゃんって自分で言ってなるものだと思ってんの?」

むかっ。

こいつはムカつくことをずけずけと言ってのけるやつだな…。人が苦労してるのも知らず…って知らなくて当たり前なんだけど。

「よく考えてみたら、大槻が不思議系なんだよね。ということは、それを見習っていけば不思議ちゃんになれるんじゃないかしら!」

「お前ほんまもんのあほだろ」

大槻はぽつりと、

「お前がグミ食いだした時期ときっかけがこれで納得行ったよ」

と言った。
< 11 / 78 >

この作品をシェア

pagetop