恋って西洋風グミの味?
休憩を知らせるチャイムが鳴った。

ああ、もうお昼か…。

あたしはうとうとと図書室で寝ていたようだった。
昨日泣いたからなー疲れてるんだろうな…なんて都合の良い理由をつけた。

図書室から出ようとすると、そこには松下さんがいた。

「あっ」
と、松下さんが声をあげた。

げっ…!!!

大槻の彼女…。何でこんなところにいるんだよっ、タイミング悪いなぁ、もう…。

松下さんともクラスは一緒だったけど、ほとんど話したことはなかった。この子もクラスでおとなしいグループに属してて、暇なときは本を抱えてる子だったから、話す機会もなかったから。

あたしはなんかバツの悪そうな顔をして、あ、あはは…と笑った。

「神菜ちゃん、どうしてこんなところいるの?さっき授業でてなかったよね」

にっこりと笑ってあたしに問いかける。

ぐっ…。

《大槻に彼女がいたことを知って走って逃げた》

これが事実。でもそれじゃまるであたしが大槻を好きみたいじゃない。

言っておくけど、そんなことはないんですからねっ!!!


…と、言いたかったけど、顔が引きつって何も言えなかった。

「い、いや、なんとなく…なんていうのかなー別の空気を吸いたかったというか…」

適当にごまかすと、松下さんは、鋭い質問をしてきた。

「ねぇ…神菜ちゃん、ゆう…大槻君と仲いいの…?」

あっ!今優喜って言おうとして言いなおしたっ!!!何か腹立つ…。そりゃあたしだって昨日まで大槻の下の名前が優喜だなんて知らなかったんですけどね、でもあたしだって知ってるんだからね?

「いや~全然仲良くないよ?他人他人。あ、クラスメイトか、一応。」

松下さんはちょっと口ごもり、また訪ねてきた。
「でも…さっき優喜君、神菜ちゃんのこと、神菜って呼んだから…」

「へっ…?」

あ、ああ~………そうね、あたし神菜って呼ばれてた。だって大槻も失礼なやつだから、あたしの苗字知らなかったんだもん。仕方なくない?

「いや、大槻、あたしの苗字知らなかったんだよ。」

と、答えると、松下さんは安堵の表情だった。

「そっか、そうだよね、優喜君がクラスの人と仲良くなるなんて考えられないもん。神菜ちゃんごめんね、変なこと聞いて。」

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