恋って西洋風グミの味?
ちょっと待てよ…

だんだんむかっ腹が立ってきた。

「大槻~一緒に帰ってやれよ~」

と言う、冷やかしの声。
隣では松下が泣いている。


あーーーーーもう!!!

何でこんなことになんねーといけねーんだ!!!


「お前らちげーって!!そもそも俺と松下は付き合ってねーの!!!」


神菜が出て行ったあと、クラスの残っていた奴らに向かって弁解した。
神菜がいなければ結局その弁解は意味がないのだが、それ以前にクラスで変な噂を立てられたくはない。

「優喜君…」

松下は余計泣きだした。

もうこうなったらヤケだ。
いつまでも松下に付きまとわれても困る。

「松下、わりいな、俺、ほかに好きなやついるんだよ。」

泣きながらだったけど、松下はコクリとうなずいた。

別に嫌いではない。ただその気持ちにはこたえられない。

「マジわりい。」

なんでこんな公衆の面前で告白されて、断らなきゃいかんのだ。

なるべく揉め事には巻き込まれたくなかったんだけどな、こんな経験するなんて滅多にないぜ。

ああイライラする。

「え~大槻でも好きなやつとかいんの?マジで?」

クラスの男どもが寄ってきた。普段は会話もしないのにこういうときばっかり興味があるらしい。ああ…これも神菜のせいだ。神菜に話しかけてからこうなった。

「いるよーないないよーな、そんな感じ。お前らもそうだろ?」

そう言うと俺は鞄を抱えて教室から出ようとした。

「おい、大槻、松下ほっといたらかわいそうじゃね?」

と、とある男子が俺に声をかけた。

「好きでもないのに一緒に帰ってやるほうがかわいそうだろ。それって同情って言うんだぜ」

これが俺にとっての正論だ。
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