恋って西洋風グミの味?
バイト先でも俺はイライラしていた。

そりゃそうだ。

あれだけ関わりを持ちたくなかった学校で、あんな羽目に合っていれば当然苛立ちも募るもんだ。

一人と関わると、とたんに周囲が開けてくる。

そんなことを痛感させられた。


そんな、監視員室で待機中に、山口先輩が話しかけてきた。

「なぁ、大槻、今度の飲み会の時誘う子見つかった?」

ああ、そう言えばそんなこともあったなぁ…。

ちょっと遠い目をしてため息をつくと、山口先輩が

「つれないな~見つかんねーの?」

と言った。

「いや、見つかんないわけじゃないんすけど、来てくれるかどうかは今日の時点では微妙っつーか…」

「あ、何?大槻の新しい彼女?」

「そんなんじゃないです!!!」

俺はかたくなに拒否した。

神菜が俺のことをどう思ってるかなんてさっぱりわからない。ついこの間まではクラスで本を読んでいる不思議君としか思っていなかったくらいだからな。
彼女だなんて程遠い。だけど、その程遠かった距離からはずいぶん近づいた。友達と言うところにまでは行ったのではないだろうか…俺の思い込みでなければ。

だって向こうから友達って言ってきたんだもんな、これは間違いないのではないだろうか。

だがしかし。

今日はかなりのご立腹だった。

あのご立腹の様子からだと飲み会も断ってくるかもしれない。

せっかく縮まった距離を遠ざけてどうするんだよ、俺。

つか、なんて神菜はあんなに怒ったんだ。それも意味がわかんねー。

「あーもう!!!」

そこに山口先輩がいることを忘れて俺はそんなむしゃくしゃした感情を出してしまった。
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