恋って西洋風グミの味?
「大槻、お前好きな女ができるとわかりやすいなー」

と言って、そばにいた山口先輩がげらげらと声をあげて笑った。

「…はい?」

思わず声が裏返りそうになりながら答えてしまった。

「結構クールなやつと見せかけて、頭がその女でいっぱいになってんだろ~」

どうしてこの人はこんなに洞察力があるのか、少し恨めしい気持ちになった。と言うか、モロバレ、と言うことか。
隠しているつもりはないけれど、自覚もない。
それが逆に恥ずかしかった。

「たしかに前はそうでしたけどね、今はそうとは限りませんよ」

と精一杯強がって見せた。
…が、それは逆効果だった。

「前は積極的過ぎ。で、引き過ぎ。だからあんなことが起こるの。好きになって夢中だったのが勝手に冷めて、フェードアウトしてちゃ相手にも悪いぜ。ちゃんと自分の思ってること言葉で伝えねーとな」

「付きあってもないのに、別れること前提で話すのやめてくれません?」

「あー!やっぱり好きな女のこと考えてたのかよ!今度の飲み会マジ楽しみにしてるからな!」

墓穴を掘った。

思わず頭を抱えてしまった。

俺、いつからこんなに分かり易いやつになっちまったんだろうな…。

やっぱり全部神菜のせいだ。

あいつのコロコロ変わる表情や、豊かな感情表現が見てるうちに移ったんだ。
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