恋って西洋風グミの味?
なんで大槻にこんな振り回されなくちゃいけないのかわからなかったけど、でもそこに抱いた自分の感情はまぎれもない事実で、泣きそうになったのも事実。

自分で自分がわからない。

どうしたいの

どうしてほしいの

何が正しいの


その時、ふと大槻が振り返った。

「神菜…?」

不思議そうにこっちを見ていた。

あたしははっと気付いて、慌てて泣きそうな顔を必死に抑え、精一杯の笑顔を作って見せた。

「あ、大槻君に松下さん、図書委員頑張ってね~」

そう言って、帰ろうとした。
すると、意外にも大槻がちょっと焦った様子で、

「神菜、待てよ」

とあたしを呼んだ。

あたしの帰ろうとしていた足は、動かしたかったのに動かなかった。

本人から事実を聞きたかったから。

だから、本能的に動かなかったんだと思う。

「な、何?」

思わず声に出したけど、その声は若干上ずっていたような気がする。

松下さんは、独りで先に図書室に入ってしまった。

…あれ?なんで?
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