恋って西洋風グミの味?
大槻はあたしのところにきて、腕をつかんだ

「やっと話す機会ができた」

そう言って、ちょっと安心しているようだった。

「何よ、話したいことがあるなら教室で話せばいいでしょ?」

わざとつんけんした態度をとってみる。

「だから教室で話したらお前に迷惑だって前言ったじゃねーか。」

「別に迷惑じゃないよ?」

「お前の友達とか俺のこと気味悪がってるじゃねーかよ。」

「ま、まぁ確かにそうだけど…」

ここは、下駄箱から図書室へ入る廊下で、図書室に縁のある学生はそんなに沢山はいないから、確かに人通りは少なくて、話すには都合が良かったかもしれない。

しばらくの沈黙。
その間も大槻はあたしの腕をつかんで離さなかった。逃げるな、と言うことか。

その沈黙に耐えかねて、あたしが

「メール、なんでくれないの?」

と、言ってみた。

大槻はえっ…?と言う顔をしていた。

「今日はちょっと忙しかったから。」

「松下さんと用事があって忙しいの?」

ああいやだ、こんな言い方、ただの愚痴ったらしい女だ。
自分でもわかってる、でもつい口から出てしまう。
憎まれ口ならめちゃくちゃ得意。
いくらでも悪態つけちゃいそう…。

「あのなぁ。そのことだけどな?いいか、神菜、よーーーーーーく聞けよ」

「なによ、松下さんと付き合ってるんでしょ?今日も仲良く二人で図書委員なんでしょ?いいじゃない、それで。御苦労さま!」

話が一番聞きたいところに入ろうとしたので、あたしはついつい話を逸らしたくなってしまった。
ここで聞かないと、たぶんもう聞く機会はなくなるような予感がした。

だけど、本当のことは聞きたくなかった。
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