恋って西洋風グミの味?
腕を振り払って帰ろうとした。

だけど、大槻があたしの腕をつかむ強さは結構な力が入っていて、貧弱なあたしの力では振り払えなかった。

「だから話聞けって!」

大槻はちょっと怒り気味にあたしに向かって言った。

「いやだ!聞きたくないっ!!!」

思わずあたしは声を張り上げた。

ちょっときょとんとしている大槻がいる。

もうやだ、泣きだしそうだ。
でも絶対こんな場所では泣かない。
ぐっとこらえて、下を向いていた。

「なんだったの?あたしにあんな優しくしといてさ、でも大槻には実は彼女がいて、でもその彼女は大切にしてなくて、色々酷いんじゃない?!」

「待てよ、だからそれが勘違いなんだってば!!!」

「何が勘違いよ!教室のみんなも言ってるじゃん。修羅場だったとかさ!」

「お前、教室のうわさ好きのやつと俺、どっち信じるんだよっ!」

大槻も声をちょっとだけ荒げた。
あたしはビクッとした。
大槻はそう言いながらあたしの腕を引っ張って、図書室まで連れてった。

「なによ!」

あたしは相変わらず突っ張っていたけど、静寂に包まれている図書室で声は出せないことくらいわかっていたから、自然とおとなしくなった。

「松下」

大槻が松下さんに話しかける。

「こいつの誤解、ときたいから説明しろ。」

「…え?」

「いいか、神菜、さっきも行ったけどよく聞けよ。」

大槻が真剣にあたしのほうを見る。

「そもそも、根本的に、俺と松下は付き合ってねーの!」


…………………・はい?
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