君と秘密のスキャンダル
思わず呟いた声は、思ったよりもズッシリと重い。
「いいえ、違うわ。あの子の本名は"白井咲良"。あの子が5歳の時、私が孤児院から引き取ったの」
「………っ!」
それから、田所さんは俺の知らないあいつを語っていく。
「あの子がね、芸能界に入ったのは元々やってたうちの芸能事務所が倒産寸前だったからなの。元々地味で自信もないし目立ちがらない子だったんだけどね、きっと私達への恩返しのつもりなのかしらね…「私が有名になれば本当の親が名乗りを挙げてくれるかもしれないから」なんてあの子は言ってたけど…。
あの子にとっては、地味な咲良が本当のあの子で、女優のあの子は裏の顔なの。
誰もそんなこと思わないでしょう?それに仕事の数も増えて、演じる量も増えて「もう自分で誰だかわからない」って言い出した時だったの…
あなたに会ったのは。
ベッドシーンの撮影の練習の為に恋愛したい〜!なんて言い出すもんだから、こっちはヒヤヒヤしたわ…。
「自分とは正反対の人と出会った」って「けど、その人も私と一緒だった」って
あなたに会って生き生きしてた。
とにかくっ!
私が言いたいのは__________________………