君と秘密のスキャンダル





「実は今、事務所兼自宅に向かってるの」



「えっ……」



「もうすぐ映画の撮影があって、クランクインするわ。咲良とは当分会えなくなるけど、」




「っ、行かせて下さい!」



あいつに、自分の気持ちを伝えたい。

それに謝らなければいけない。

あのまま別れなんてできねぇ…!



そんな思いは虚しく、



「……今度はマネージャーとして言うわ。あの子が女優の白井咲良と知ってしまった以上、交際は認めないし、あなたを咲良に会わせるわけにもいかない」



ハンドルを握る田所さんの背中はいつの間にか母親ではなく、マネージャーになっていた。






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