俺様社長は溺愛本能を隠さない
「所有物かぁ。へぇ、そっかぁ、なるほどぉ」
声に出た。
すると優しい金沢さんが汗をかきながら「それでも、好意には違いないよ!」とあまり嬉しくないフォローを入れてくれたため、私は笑顔に戻した。
いけない、いけない。
私は皆の仕事をサポートする秘書なんだから、こんな訳の分からないことで気を遣わせてはダメだ。
都筑さんに渡す予定だった書類を彼のデスクに置き、その上に重りとして手近にあったハサミを置いた。
「さ、皆さん。お仕事に戻りましょう」
このときの私の気持ちをどう表そうか。
とりあえず、絶対に、三十歳一千万の海外旅行さんには会っておこうと決めたのだった。