俺様社長は溺愛本能を隠さない
彼の本心
──眠れない夜が過ぎた、翌朝。
どんなに眠れなくても、朝はやってくるわけで……。
今日は休日だけど、クライアントとの打ち合わせの予定が入っているため、都筑さんと若林君が出勤する。
お茶出しついでにいくつか片付けておきたい仕事もあったし、私も出勤する予定になっていた。
壁に身を隠しながら出勤すると、オフィスにはすでに都筑さんの姿があった。
「おはようございまーす……」
う、こっち見た。
気まずい……。
昨日逃げ帰ったあげく、夜来ていた電話を無視したままなんだよね。
「……有村」
今のは呼んだわけじゃなくて、呟いただけ……?
とりあえず、席についてもいいかな。
いつもの動線をカクカク移動し、デスクにバッグを置いた。
視線がずーっとこっちを向いている。
「……なにかご用ですか。都筑さん」
さすがに気まずさが過ぎて視線に応えると、彼は高校生のような若さの表情を向けていた。
洗練された大人のファッションに身を包みながら、瞳だけは青く燃えている。
「昨日の……“違う”と言ったのは、俺への返事か?」
そんな、いきなり直球で聞いてくるのね……。
ヒリヒリしてこっちまで焼け付きそう。