俺様社長は溺愛本能を隠さない
お見合い
──日曜日は朝からよく晴れていた。
ホテルラウンジでのアフタヌーンティーは午後三時の約束、集合はホテルエントランスに二時五十分だ。
今は十分前の、二時四十分。
すでに私はエントランスから対角線の植木の横に立ち、入り口の様子をうかがっていた。
先に集合場所で待っているのは気が引けるし、かといって待たせるのも悪いから、相手が到着したらすぐに登場できるようにしている。
それにしても、お世話係のいる婚活というのはとても楽だ。
予約も全て花輪さんが相手と相談してやってくれたし、お会計は男性持ちでいきましょうと最初から向こうに話をつけてあるという。
婚活の常識とやらに疎い私にとってはありがたい。
大手企業の男性はグローバル思考で物知りだから、あまり女性側は知ったかぶりをせずに控えめに褒めてあげましょう、というアドバイスをもらった。
聞かなきゃならないこともリストアップしなさい、と。
仕事のこと、家族のこと、将来のこと。
希望は控えめに、でも真実を。
二人で擦り合わせながら本当にマッチングするかを見定めなきゃならないらしい。
その人を好きになれるかよりも、将来のビジョンが一致しているかが何倍も重要なんだとか。
すでに私の中で、結婚の定義がよく分からなくなっている……。