俺様社長は溺愛本能を隠さない
四十五分になると、先程から三個離れた植木の横に立っていた若い男性が、おもむろにエントランスの前へと移動した。
その人は腕時計を見ている。
ビシッとサイズピッタリのスーツを着て、素敵な感じ。
あ……身長が少し低めで、爽やか系。
写真の顔は覚えてないけど間違いない。あの人だ。
お互い植木に隠れて待ってたとか、登場するの恥ずかしいな。
しかし登場しないわけにもいかず、私は苦笑いをしながら前へと進み出た。
「やっぱり。有村さんですか? そうじゃないかと思っていました。はじめまして。戸川修二です」
「有村莉央です。はじめまして。今日はどうぞよろしくお願いします」
「はい。入りましょうか」
第一印象、企業人。
戸川さんの斜め後ろについて、ホテルへ。
高そうなホテル……。入るの初めてだ。
というか、初めて実物と会うけど、戸川さんって結構イケてるような気がする……。
この人若いのにどうして婚活してるの……?
なにかあるの……?