俺様社長は溺愛本能を隠さない

恋人になったら、これからちゃんとルールを作って守ってもらえばいい。
頭の中がデザインでいっぱいなのは分かるけど、私と会っているときは帰ったりしないとか、放置しないとか、そういうルール。
あと理不尽なことばかり言わないとか、無神経な行動は謹むとか。

理解してもらえるかは分からないけど、たしかに、それは付き合ってみなければ分からないことだ。

婚活の考え方みたいに、これから二人で擦り合わせていければいいのかも。

「都筑さん……本当に、私のこと好きですか?」

「好きだよ。そう言ってるだろ」

「大切にしてくれますか?」

「大切にする」

もう都筑さんみたいな人とは出会えない気がしている。
これを受け入れないときっと一生後悔するかもしれない。

今度こそ、都筑さんを信じたい。
信じるべきなのかも。

彼の目をもう一度ちゃんと見つめる。
「私も好きです」と言おうと思い、息を吸ったときだった。

ちょうど、彼の背後に可愛らしい女性がひょっこりと現れ、彼女の指がちょんちょんと都筑さんの肩をつついたのだ。

「あのぅ、京さぁん。まだですか? 私、待ってるんですけどぉ」

背中まで長い茶髪の女性は、おそらく二十代前半で、目の大きなお人形みたいな人。
まとわりつくような甘い声に、都筑さんは彼女を振り向いた。
すると「ああ」と返事をしたのだ。

「悪いな。もうちょっと待ってろ」

「ええー。もうお料理来ちゃったんですけどぉ。お腹すきました」

「食べてて」

< 61 / 110 >

この作品をシェア

pagetop