俺様社長は溺愛本能を隠さない

うわぁ……、これもう確実に、彼女も都筑さんのことが好きで、私のことを敵視している。
人懐こい笑顔はずっと挑発的だし、今のは宣戦布告に違いない。

こうなると私は弱い。バトルを表面化されると、すぐに白旗を上げたくなる。

桃木さんは都筑さんと休日デートをし、職場にまで乗り込んできて、そして秘書になった。

私の領域がものすごい勢いで侵食されていくのが分かる。
告白をされたのは私のはずなのに、彼女に今から全てを奪われるのでは、そんな気がしてならない。

「んもう、冗談ですよぉ。莉央さん、仲良くしましょうね」

握手を求められ、私は力なくそれに応えた。
すると手を離してもらえなくて、私は冷や汗が止まらなくなる。

すでに先輩らしさを失った私は、彼女に完全に主導権を握られてしまったのだ。



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