俺様社長は溺愛本能を隠さない

頭が痛くてヒールがふらついた。
若林君をちょっぴり見直したと思っていた気持ちは一気に冷めて、寂しさに一層拍車をかけられた気分。

「……分かりました。忘れます。頑張ってくださいね」

「はい!」

満足したらしいマッシュは、軽快な足取りで会議室を出て行った。
それを言うためだけに来たんかい!

若林め……人をおちょくって……。

……あれ? もしかして、桃木さんってこれも計算済み?
内緒で手を握るとか、若林君に思わせ振りなことをするなんておかしい。

目的は都筑さんじゃなくて、私に嫌がらせをすることだったとしたら。

若林君が私に言い寄っていたのを見たから、今度は彼をものにしようって魂胆……?

絶対そうだ!
そうとしか考えられない!
本当、腹立つ……。

「あ、いたいたぁ。莉央さぁん。もう皆帰るみたいですよぉ」

噂をすれば!
小悪魔、桃木巴!
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