悪魔のご飯は愛情です
テオにとって、息苦しい一日が今日も始まった。フィービーだけ低級の存在なため、フィービーの周りだけが浮いている。

「ローガンくん、あとで進路指導室に来なさい」

六時間目の魔法薬の授業が終わった後、テオは先生に呼び出された。魔法薬の先生は進路の担当もしている。

「ご主人様、何かしたんですか?」

フィービーが首を傾げる。テオが先生から呼び出されることなどほとんどなく、教室もどこかざわついていた。

「何もしてねぇよ。お前と違って優秀だからな」

テオはいつものように笑ってみせる。フィービーは「ひどいです〜」と言っていたが、テオの中で嫌な予感はしていた。

「ちょっと来い」

テオは自身の不安を誤魔化すため、フィービーを連れて廊下に出る。そして誰もいないことを確認した後、フィービーを強く抱きしめた。

「ご、ご主人様!?ご飯の時間にはまだまだ早いですよ!!」

「うるせえ、黙ってろ」

慌てるフィービーを黙らせ、テオはフィービーの温もりに触れて不安をかき消そうとする。フィービーのご飯が愛情でよかったとテオは心から思った。素直に甘えることができないので、触れることを必要とするのはテオにとってありがたい。

「それじゃあ、行ってくる」

テオはしばらくしてからフィービーを離し、歩き始める。チラリと見たフィービーの顔は赤く、テオは胸を高鳴らせた。
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