悪魔のご飯は愛情です

「何で俺……」

呪文を唱えられない自分に苛立つこと、数十分。フィービーはどんどん移動している。悲しげな顔がテオの頭の中に焼き付いた。

「きゃあっ！！」

フィービーの悲鳴にテオの肩が揺れる。フィービーは悪魔に襲われていた。必死で抵抗するも攻撃は全て避けられ、追い詰められている。

「フィービー！！」

テオは慌てて呪文を唱えた。その刹那、今度は強い光に体が包まれる。テオはゆっくりと目を閉じた。

「えっ？ご主人様？」

光が見えなくなった頃、フィービーの驚きと嬉しさが混じったような声でテオは目を開ける。目の前にいる悪魔たちもフィービーも、突然テオが現れたことに驚いているようだった。

「このバカ使い魔。お前のせいで家事を一人でするのは大変だったんだ。……家に帰ったらきっちりしてもらうからな」

泣いているフィービーにテオはそう言い、悪魔たちの方を向く。その目は怒りに満ちていた。

「俺の好きな奴を怖がらせた報い、今ここで受けてもらうぞ！！」