悪魔のご飯は愛情です
「だって私、サキュバスの血が入ってますから!」

テオが抱きしめようとした刹那、フィービーが顔を上げる。真っ赤な顔を誤魔化すようにテオは「色気なんてゼロのくせに?」と意地悪を言うのだった。



テオとフィービーが出会ったのは、今から五年ほど前だった。

魔法使いや魔女はみんな使い魔を持っている。しかし、テオはずっと一人で魔獣や悪い魔法使いと戦ったりしてきた。そんな彼に周りは使い魔を持つよう説得するのだが、テオは聞こうともしない。

「一人の方がずっと楽だ。足手まといになられたら困るし」

大雨の降るある日、テオは学校からの帰りに道端でフィービーが怪我をして倒れているのを見つけた。通行人はみんな見で見ぬふりだ。

「あいつ、使い魔になられたら弱そうだし」

「血だらけで汚い」

ヒソヒソと話す声がテオの耳に入る。テオもそのまま通り過ぎようとした。しかし、ピクリとフィービーが体を動かしたのだ。

「……悪魔のくせにドジなんだな」
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