悪魔のご飯は愛情です
「テオさん、おはようございます」

学校の近くにテオがやって来ると、頰を赤く染めながらメガネをかけた女子生徒が挨拶してくる。その隣には、森の精霊であるヴィリイが使い魔としている。

「ああ、おはよ」

テオはそう言い、フィービーを連れて足早に学校の中へ向かった。テオは背後から女子生徒とヴィリイの視線を感じた。それは、「どうしてエリートがこんな低級悪魔を使い魔に？」と言いたげなものだ。

廊下を歩いても、どこを見ても、エリートの使い魔は強い力を持った精霊や妖怪などだ。テオのように低級な悪魔などを使い魔にしている人などいない。

テオはフィービーのことを心配していたのだ。「何でこんな悪魔が？」という目で見られて辛くないのか気になっていたのだ。しかし、それをテオはフィービーに訊ねることはできないのだが。

「ご主人様、一時間目は魔法の実技ですね！」

フィービーは楽しそうにテオに言う。テオは「ああ、そうだな」と周りのことは気にしないように本を開いた。こうしている間にも、痛々しいほど視線が突き刺さってくる。
< 9 / 19 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop