イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「えーと、では、さっそく本題に入らせていただいてよろしいですか?」
「もちろんです、お願いします」
どうぞ、と促すと、彼は手元のノートパソコンをくるりと動かし、画面をこちらへ向けてくれた。
「ご覧ください。中村さんからいただいたイメージをもとに作成した、今年度のラフになります」
「うわ……ぁ……!」
目にするなり、自然と声がこぼれていた。
映っていたのは、うちのビル1階、グランドフロアだ。
画面は分割され、上下左右、異なる方向からの映像を表示している。
見慣れた場所のはずなのに、全く違う風景に見えるのは、やっぱり“それ”――クリスマスツリーの存在感のせいだろう。
うちの会社では、クリスマスシーズンのみ業者さんに依頼して、大掛かりに1階をデコレーションする。それを仕切るのが総務課で、担当がわたし、というわけ。
一般企業だし、ショッピングモールやテーマパークみたいに、芸能人を呼んで点灯式、なんてやらないけど。
ただデザインは毎回変えていて、それを楽しみにしてくれてる社員やクライアントもいるから、なかなかに責任重大だったりするのだ。