イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
最初、この仕事を梓沙さんから引き継いだ時は、正直戸惑った。
クリスマスに対して、ろくな思い出のないわたしに、何ができるんだろうって。
みんなの夢を壊しちゃったらどうしようってビクビクしてた。
でも、物は考えようで。
ろくな思い出がないからこそ、たぶんクリスマスに対する憧れは誰よりも強いんじゃないかな、ってことに気づいて。
それからは、理想のクリスマスを追及することが楽しくなったのよね。
去年は……積雪をイメージした白一色のフェイクツリーに、青や紫のLEDボールライトで非現実感たっぷりに飾り立てた。
それはそれで、もちろんインスタ映えするとても幻想的な仕上がりだったけど、寒そうっていう感想もあって。
だから今年のテーマは、“原点回帰”。
本来のクリスマスらしいワクワク、ドキドキした雰囲気を盛り込んでもらえるようお願いしてある。
できあがってきたラフは、というと――
「……素敵ですね。イメージ通りです」
嬉しくて、何度も頷いちゃった。
どっしりと枝を広げる天然のモミの木に、大小のオーナメント、毛糸で作ったサンタクロースや雪だるま、動物のぬいぐるみがカラフルに映えてすごく可愛い。
キャンドル型のライトもいいな。
オレンジ色の光から、暖炉のそばみたいな温かな雰囲気が伝わってくるもの。