イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「クリスマスの思い出って、みんなそれぞれあるじゃないですか」と三井さんは目を細める。

「家族でごちそうを食べたこととか、サンタクロースを待って夜更かししたこととか……。ツリーを見ただけでそういう思い出が蘇ってくるような、アットホームな仕上がりを目指しました」

「家族でごちそう……ですか」

「あれ、どうかしました?」

一瞬口が重たくなってしまったこと、気づかれたらしい。
不思議そうにこっちを見る三井さんへ、急いで笑顔を取り繕った。

「ごめんなさい! ずっとクリぼっちだったので、それほど楽しい思い出ってなくて。あ、でも雰囲気は好きですよ? イルミネーションとかお店のディスプレーとか」

「中村さん、クリぼっち、だったんですか? 彼氏、いるんだと思ってました」

まん丸の目で驚かれてしまった。

「あははっ、今年こそは卒業したいんですけどね」

トライアル終了がクリスマス直前になることを考えると……
難しいかなぁ。

束の間遠い目をしてしまったわたしがふと顔を戻すと、三井さんはぼんやり何か考え込んでる。
ぼっち、中村さんが、とかつぶやいてるみたいだけど……?

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