イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
音もなく閉まったエレベーターのドアを見つめて、ふぅと息を吐く。
婚活禁止って結構キツイなぁ。
せっかく誘ってもらっても、何もできない。
もしかしたら、そこにこそ、運命の相手がいるかもしれないのに。
こっそり行っちゃうとか、ダメかな?
黙ってれば大丈夫、って気もする。
付き合うっていっても、毎日一緒ってわけじゃないでしょ?
坂田くんの方がわたしよりずっと忙しいんだから。
チャンスは多ければ多いほどいいし、合コンくらいなら……
とは思うものの、実際行っちゃう勇気はない、今のところ。
なんとなく、隠し事はできないって気がするから。
彼のことだし、約束を破ったらどんな報復手段に出てくるか、想像しただけで恐ろしい。
それこそ、本気で“リベンジ”してきそう。
まぁ……少しだけの我慢だ。
すぐ彼も飽きるに決まってる。
自分に言い聞かせるようにつぶやいて。
会議室を片づけてこなくちゃと、踵を返したところで。
BBBB……
スカートのポケットの中で携帯が震え、着信を知らせた。