イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
思いっきり楽しんでるよ、この人!
「ライターだけじゃ足りないっつったのはお前だろ? 自分の言葉には責任持てよ。こっちだって疑われるのは不本意だ」
や、やられた……
まさか自分の言葉が逆手にとられるなんて。
「早くしろ。オレはこの後まだ書類仕事残ってんだから」
笑いを滲ませた声で急き立てられて、なんだかもう泣きそうだ。
オロオロ彼を伺うも、許してくれる空気じゃない。
このままじゃ、帰らせてもらえない?
視線をあちこちに彷徨わせて……なんとか、決意を固めた。
うぅ、仕方ない。
両手をギュッと胸の前で握り合わせ、おずおずと足を前へ出す。
距離を30センチくらいまで詰め、これでいいかなと立ち止まったんだけど。
「んな離れてちゃ、わかんねえだろ。仮にも恋人なんだし、遠慮するな」
揶揄うような声がして。
次の瞬間。
「っ!!」
強く腰を引き寄せられ、わたしの身体は彼の腕の中へ飛び込んでいた――