イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
彼の方はというと、黒の上下に、ベージュの七分袖ジャケット。
カジュアルな中に余裕が漂うっていうか、完璧な装い。
ますます自分が情けなくて、「み見ないで」って、持っていたタオルで顔を覆いながら呻いた。けど……
「隠すなよ。可愛いのに」
か、可愛い……?
聞き違いかと何度か瞬き、タオルごしにチラッと見上げれば。
わたしから逃げるように、彼の視線が逸れていく。
「その、押しかけて悪かった。なんか……じっと待ってられなくて」
首の後ろへ手をやる彼。
露わになった耳がほんのり赤いような……気のせい?
もしかして――動揺してる、とか?
いやいや、ありえないでしょ。
あの坂田慎太郎だよ? 彼に限ってそんなこと。
うんうん、ないない。
「やっぱり外で待ってた方がいいか?」
躊躇いがちに申し出る彼に、ブンブン首を振る。
「ううんっ! ごめんね、入って! 狭いけど……」
昨日掃除機かけたばかりだし、そこまで取っ散らかってはいない、よね?
頭の中で素早く考えて、大きくドアを開けた。