イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!


「うーわぁーっ、やっぱり大きいっ!」


グランドフロアに出現した巨大なモミの木。
賑やかに飾り立てられた、その5メートルを超す大木を目にするなり、自然と歓声が口をついた。

その日最後の仕事、それがエントランスのクリスマスデコレーション、その設置作業の総点検だった。

打ち合わせでラフは確認してたけど。
やっぱり画像と実物じゃ、全然違うな。

「去年より一回り大きいですし、迫力ありますよね」

三井さんの言葉で振り返り、「ほんとに」って強く頷いた。

木の根元には、プレゼントの箱を積み上げた本物のソリが飾ってあるけど。
ツリーだけで十分だったかもしれない。

「それではもろもろ、確認をお願いしたいので、こちらへ来ていただけますか?」
「はい」

彼の案内に従って、事前の打ち合わせ通りに漏れなく設置されているか、一つ一つ確認していく。

「じゃあ、ちょっと点灯してみますね」

三井さんが合図すると。
ぱぁあっと光が駆けあがって――瞬く間にツリーが眩しいくらいのライトに包まれ輝いた。

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