イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

うわぁああ……
居合わせた人たちから、一斉に感嘆の吐息が漏れる。

オレンジやイエローといった、暖色系ライトが穏やかな光を投げかける様子は、見ているだけで心がぽかぽか、温もってくるようだ。

やっぱりクリスマスっていいなぁ。
気持ちまで華やぐもの。

「へぇ、クリスマスツリーかぁ」
「実は密かにここのツリー、毎年楽しみなんだよねー」
「今年のツリー、可愛い~。みんなに教えてあげよ」

通りかかった社員たちがさっそくスマホを向けてる。
三井さんと顔を見合わせて、一緒にガッツポーズしちゃった。

会社の顔、ともいえるグランドフロアのデコレーションだもん。
毎年実は、どんな反応があるかなって戦々恐々だったりする。

今年は……結構気に入ってくれたみたい。よかった!

やれやれと肩の荷を下ろした気分で、最後のチェック。
点灯時間や消灯の確認を済ませていたんだけど――


「みっちゃーん、早くしろよ!」
「頑張れっ」

作業を終えて撤収中のスタッフさんたちから、囃し立てるような小声が口々に飛んでくる。
なんだろう?

楽しそう、っていうか、面白がっているみたいな?
密かに首を傾げていると、三井さんの顔がユデダコみたいに真っ赤になっていた。

「あの、どうかしましたか?」

「……あああの、中村さん」
「はい?」

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