イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ぎゅっと強く握り締めた拳が見えて、ますます訳が分からない。
緊張してる? なんで?

「ダメモトで聞きますけど……この後、飲みに行きませんか?」

「えっと、あぁ打ち上げってことですか?」

他のスタッフの方も一緒にってことかな。
それをみんな楽しみにしてたとか? なるほど、と言いかけて。

どうも違う雰囲気だな、と口を噤む。

「いえ、あの……フェアじゃないんで、ちゃんと言いますね。下心はあります。そういうつもりで、誘ってます」

「っ……」
言葉を失い凝視した先、照れたようにうつむく三井さんがいて狼狽えた。

「でも、合コン、って……」

やりませんか、って言ってたよね?
わたしの友達を、って……

「あれは……すみません。直接誘う勇気がなくて、きっかけになればいいなって。ほんとに誘いたかったのは、中村さんなんです」

「え、……」

まさかこんなところで、そんな展開になるなんて全くの想定外で。
頭は真っ白だ。


――モテ期到来ですねっ!

まさか、ほんとにあるの?
モテ期? ほんとに?

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